お問い合わせ
(雑誌等の取材をお受け致します。)
トップ 書籍紹介 お問合せ 解説者紹介
外国人雇用
東京入国管理局
就労ビザ
外国人労働者
不法就労助長罪
外国人採用
出入国管理事務所
ビザ申請
在留資格
在留資格認定証明書
強制送還と外国人雇用
弊社概要と業務内容
トップページ
あさひ東京総合法務事務所
あさひ東京総合法務事務所
あさひ東京総合法務事務所
*不法就労助長罪

「不法就労は犯罪です。」といわれますが、ア・プリオリに犯罪性が措定され、「なぜ犯罪なのか。」の刑事法の立法事実ないし、制度趣旨を回答できる人は驚くほど少ないと思われます。「まじめに働いているだけなのになぜダメなのか。」等の考え方もあると思われます。

Q:不法就労(非正規就労)はなぜ犯罪なのですか。
A:入管法の場合、入管法の行政目的を達成するため、その禁止規定の実効性を担保する趣旨で罰則が規定され、不法就労が犯罪構成要件になっていることから(坂中英徳著「全訂出入国管理及び難民認定法逐条解説」825頁参照。)、これはなぜ不法就労が禁止されているのかの問題であると考えられます。ただ、この問題は難しいため、以下のような学説があるということだけを紹介致します。こうした考え方は日本だけのものではありません。
A説:外国人犯罪などの温床になるから。
B説:不法就労者自身も雇用者から搾取され、労働災害にあっても十分な救済を受けられないなど、人権上の問題があるから。
C説:日本人や正規に在留している外国人の雇用機会を奪うから。たとえば、不法就労者以外の国内労働者の労働条件の向上の阻害、高年齢者、主婦のパートタイム労働等の雇用への圧迫等(法務省入国管理局出入国管理法令研究会編「出入国管理法講義」)。
D説:不法就労者の雇用主が経済競争において不当に有利になり、公正な経済競争が妨げられるから(法務省入国管理局出入国管理法令研究会編「出入国管理法講義」)。
E説:経済学的見地。脱税やいわゆるフリーライダーが常態になるほか、畢竟、GDPを押し下げるから。

Q:どういう場面で不法就労になりますか。
A:不法就労には非常に幅があります。たとえば、人文知識・国際業務の在留資格の人が興行の活動を行えば、不法就労です。また、留学生や就学生が、許可を得ないで、ファミリーレストランでアルバイトをすれば不法就労です。不法滞在者や不法入国者が就労するのは通例、不法就労です。但し、あらゆる入管法上の退去強制事由に当たる不法就労が常に必ず、犯罪になるとは限りません。なぜなら、犯罪の成立要件は、構成要件該当性、違法性、責任の三つで把握するのが一般ですが、構成要件該当性があっても、違法性、責任が欠けることはあるからです(坂中英徳著「全訂出入国管理及び難民認定法逐条解説」825頁。)。これは行政処分と刑事処分の差異を意味しています。したがって、その意味では「不法就労は犯罪である。」と常に断じるのは、構成要件該当性に推定機能があるとしても、ミスリーディングです。

Q:不法就労になるとどうなりますか。
A:退去強制事由に該当し(入管法24条4号イ、19条1項)、行政手続上、退去強制が可能になります。さらに、犯罪成立要件を充足する場合には、刑事責任を問われます(入管法70条1項4号、73条)。そして、その雇用主は、不法就労助長罪に問われることがあります(法73条の2)。

Q:弊社で雇用している外国人社員が日本人と婚姻することになりました。ところが、管理不行き届きにて、不法就労(かつ不法滞在)でした。この場合、会社としてはどうすればよいでしょうか。
A:本人ら夫妻には、入管に出頭申告し、在留特別許可を請願するための手続を採るよう、伝えるべきでしょう。その場合、出頭を急がせないと、不法就労で強制送還される等の取り返しのつかないことになります。なお、出頭しても許可される保障は無いことは当事者によく伝えておく必要があります。

Q:企業の外国人社員が在留特別許可を請願するための手続を採った場合、企業側は何か不法就労につき責任を問われるでしょうか。
A:法律の建前は不法就労に係る責任を生じうるはずですが、現場では必ずしもそうとは限りません。あくまで個別の事情で判断されます。たとえば、政策的にみても、それで企業が常に必ず重大な責任を負うと解した場合、人道的配慮が必要な夫妻が結果的に失業等を怖れて出頭できなくなりかねず、また、生計の安定性を失い、あるいは不法就労が潜在化し、好ましくないと思われます。
Copyrights (C) Kogawa, Minemitsu and its licensors. All Rights Reserved. このサイトは自由にリンク可能です。
弊社運営サイトの内容やデザインは公正証書で全体を確定日付で保全しております。無断での模倣等を禁じます。