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あさひ東京総合法務事務所
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*強制送還と外国人雇用

外国人社員が在留期限を失念し、不法滞在になったときの企業の対応。外国人雇用が強制送還といかに結びつくが概説致します。なお、専門知識の無い方に分かりやすくする工夫として敢えて「強制送還」という言葉を用いており、専門家にはかえって読みにくいかもしれませんがご諒承頂きたく。

Q:当社の外国人社員が、海外旅行をしようとビザ手続をしている間、外国公館に旅券を預けていたところ、うっかりと、日本のビザのほうの在留期限を徒過してしまいました。この場合、わずか数日の超過なので、更新申請は受理してもらえるでしょうか。それとも強制送還されるのでしょうか。知り合いの話によれば、受理してもらえるとのことですが。
A:これは諸般の事情や提出する証拠資料、申請する側の説明の内容等の総合判断で決まります。なお、「最近まではそのような場面での受理(特別受理といいます。)はかなり弾力的だったのですが、現在のところ、硬直的に処理し、強制送還するための手続に載せる運用です」等の説明をする場合もありますが、そのお知り合いの話は、ある時点の、ある地方局における、個別の事案での扱いを指しており、入管での運用は、時期によっても、場所によっても、個人によっても、経緯によっても、説明の仕方によっても、頻繁に変わりますので、ご注意下さい。
 すなわち、そのような場面の更新申請は、受理されない場合があります。もっとも、特殊な地位や身分の場合、特別受理される場合が、今でもあります。しかし、たとえば、大学の研究員、一般企業社員、銀行員等でも受理されない実例があります。

Q:更新申請が受理されない場合、どうなるのでしょうか。
A:不法滞在になり、行政手続では、退去強制事由、つまり強制送還の対象になります。他方、刑事手続では、不法滞在に係る犯罪構成要件に該当し得ます。さらに、期限超過後の就労は不法就労となります。したがって、雇用主は不法就労を助長していたものと評価される場合があります。

Q:たった数日で不法滞在、不法就労で犯罪、強制送還とは酷に過ぎるのではないでしょうか。
A:入管法は、基本的には、1日の不法滞在と10年の不法滞在を、法的に区別していません。同様に、1日の不法就労と10年の不法就労も、法的に区別していません。強制送還は酷かもしれませんが、そのような事態を招いたということは、裏を返せば、雇用していた企業等の人事部が、本人の在留資格を会社で管理せず、本人に任せてしまっていたことを意味し、入管から外国人を雇用する企業としての管理能力に疑念があると判断されるともいえます。

Q:強制送還されるとどうなるのでしょうか。
A:たとえば、不法滞在で強制送還された場合、法律上、5年間入国できません(リピーターは10年。)。もっとも、出国命令制度の適用があれば、1年間入国できないというのが法令の規定です。

Q:強制送還手続というのは、実際にはどういう手続でしょうか。
A:強制送還手続(退去強制手続)では、まず、入国警備官の違反調査から始まり、入管で全指の指紋を採取し、写真を撮り、「容疑者」として扱われます。なぜなら、入管法という法律に「容疑者」と書いてあるからです。その後、本人を収容するかどうかを判断したうえ、入国審査官の違反審査を行い、違反の容疑事実の認定をします。本人が帰国する意思であれば、通例、帰国するのにあまり時間はかかりません。

Q:強制送還されて1年も来れないとなると、会社の事業に支障を来たします。何とかならないのでしょうか。
A:強制送還手続(退去強制手続)では、本人が特別に在留を許可して欲しいと請願することもできますが、その請願が叶えられるかは、入管の裁量に任されており、一義的な基準はありません。また、仮に特別に在留を許可される場合でも、いつ許可されるのかの決まりはないため、その間就労できません。
 この点、企業の人事担当者の中には、「以前何とかなったので、今回も大丈夫だろう。」との希望的観測を行い、放置する方が一部におられるようですが、このような違反事案での外国人につき、特別に許可する法的義務は入管にはありません。漫然と放置するのではなく、常に人事部として全力を傾注することが必要です。
 たとえば、「人文知識・国際業務」の在留資格を持っていたアメリカ人男性が、在留期限を忘れたため、強制送還手続(退去強制手続)にかかったところ、本人は在留を希望したのですが、提出資料等に問題があったため、入管へ出頭してから1年以上不法滞在のまま放置された実例もあります。なお、この待っている間は、「普通の不法滞在者」と何ら変わらないため、路上等で警察に職務質問されると、本当に逮捕され、逮捕された場合、罪責に応じて、裁判になるか、即時に入管送りか判断されたうえ、入管に送られた場合、強制送還手続の一環として、収容されます(警察から送られた場合は、通例、収容する運用です。)。この入管と警察の関係は日本独特ともいえ、相互に独立しています。企業の人事部の方にはあまりピンと来ない話かもしれませんが、東京入国管理局の1階の入って左へ行かれれば、収容されている人に面会をしに来た多数の人を見ることもできます(800人程度収容されています。)。また、視点を変えれば、日本人でも外国で不法滞在すれば(若い人に多い。)、外国の入管に収容され、強制送還されるわけで、しかも珍しい話ではありません。なお、外国の入管は解放処遇といって、比較的自由に行動できる場合もありますが、日本の入管の場合、「収容」=強制送還のための刑務所的な施設への閉じ込め、であり、自由な行動はありません。収容施設では、大部屋に同じような不法滞在者の人(容疑は色々ですが。)と一緒に集団で入れられ、常に職員に監視されます。隣で寝ている人の「いびき」がうるさい等のストレスも溜まったりするようです。

※より詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧下さい。
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